日本の天気予報を見ると、同じ日でも日本海側は大雪、太平洋側は晴れ、南の島は暖かいということがあります。なぜ小さく見える日本の中で、これほど気候がちがうのでしょうか。大切な手がかりは、日本が南北に長いこと、海に囲まれていること、国土の中央に山地が続くこと、そして季節によって向きが変わる季節風です。地形図や雨温図を比べ、風がどこから吹き、どの山地にぶつかり、その地域の人々がどんな暮らしの工夫をしているかを順につなぐと、日本の国土の特色が見えてきます。
対象: 小学5年生 / 学び: 社会・日本の国土と気候
日本の国土は南北に長く、山地が多い
日本列島は北東から南西へ細長くのび、北と南では緯度が大きくちがいます。一般に北へ行くほど気温は低く、南へ行くほど高くなりますが、気温は緯度だけで決まりません。日本の国土のおよそ4分の3は山地や丘陵地で、平地は海岸や川の下流などに広がっています。山地は風の通り道を変え、空気を上へ押し上げて雨や雪を降らせます。また、山から海までの距離が短い川が多いため、流れが急で、大雨の後に水かさが増えやすい川もあります。地形図を見るときは、山地、平野、川、海の位置を別々に暗記するのではなく、風や水がどの向きへ動くかを矢印で追うと分かりやすくなります。
季節風と山地が雨や雪の地域差をつくる
季節風は、季節によって吹く向きが大きく変わる風です。冬は大陸側から冷たい北西の季節風が吹きます。この風は日本海を渡る間に水分をふくみ、日本列島の山地にぶつかって上昇し、日本海側に雪や雨を降らせます。山地をこえて太平洋側へ下りるころには水分が少なくなり、乾いた風になりやすいため、太平洋側の冬は晴れる日が多くなります。夏は太平洋側から暖かく湿った風が吹き、梅雨や台風も雨の量に関係します。中国山地と四国山地にはさまれた瀬戸内では、風が山地をこえる間に水分を失うため、降水量が比較的少ないという特色があります。ただし、どの地域にも年や場所による差があるので、『必ず毎日そうなる』とは考えません。
気候に合わせた人々の暮らしと備え
人々は地域の気候を変えるのではなく、特色を理解して暮らし方を工夫してきました。雪の多い地域では、道路の除雪や融雪、雪が落ちる向きを考えた屋根、冬でも移動しやすい交通設備などが見られます。雨の少ない地域では、ため池などに水をたくわえ、生活や農業へ計画的に使ってきました。南西諸島のように暖かく台風の影響を受けやすい地域では、強い風雨に備えた家や防風林などの工夫があります。中央高地の盆地では一日や一年の気温差が大きくなりやすく、その気候を生かした農業も行われます。資料を読むときは『気候の特色→起こりやすい困りごとや利点→住まい・交通・産業の工夫』という順で整理すると、自然条件と人々の生活を結び付けて説明できます。
身近な例で考えてみよう
- 冬の天気予報で日本海側の雪と太平洋側の晴れを同時に見つけたら、北西の季節風が日本海で水分をふくみ、山地の風上側で雪を降らせた後、風下側へ乾いて下りる流れを考えられます。
- 旅行先の地図で山地にはさまれた瀬戸内を見つけたら、降水量が比較的少ない理由と、ため池など水を確保する工夫を結び付けて調べられます。
- 台風の進路予報を見るとき、南西諸島や太平洋側の位置、海から来る風、強い雨、川の増水を重ねると、早い備えが必要な理由を地形と気候から考えられます。
よくある間違いと覚え方
- 『日本海側は一年中雪、太平洋側は一年中晴れ』と決めつけるのは誤りです。雪や晴れの特色は特に冬の季節風と関係し、季節、標高、場所、年によって天気は変わります。
- 『南へ行けば気候は緯度だけで決まる』と考えがちです。緯度に加えて、標高、山地、海、海流、季節風など複数の条件を資料で比べます。
- 『暮らしの工夫は自然を完全に防ぐもの』ではありません。除雪、貯水、防風、避難などは危険や不便を小さくする備えで、予報や地域の情報を使い続けることが大切です。
保護者の方へ
天気予報や旅行の地図を見たときに、『風はどこから来る?』『途中に山地はある?』『風上と風下で雨や雪はどう変わる?』『人は何を工夫している?』と順に問いかけてみてください。答えをすぐ教えるより、地形図へ風向きの矢印を書き、気温・降水量・暮らしの写真を並べると、資料を関連付ける練習になります。ゲーム内の五地域は代表的な特色を短く比べるモデルで、同じ地域内にも標高や場所による違いがあることを補ってください。
ミニ問題
問題1: 冬の北西季節風が日本海側に雪を降らせやすいのはなぜですか?
答えを見る
日本海で水分をふくんだ風が山地にぶつかって上昇するから
冷たい季節風は日本海を渡る間に水分を受け取り、山地で上へ押し上げられて雲をつくり、日本海側へ雪や雨を降らせます。
問題2: 瀬戸内で降水量が比較的少ないことと関係する二つの山地は何ですか?
答えを見る
中国山地と四国山地
瀬戸内は二つの山地にはさまれています。季節風が山地をこえる間に雨や雪を降らせ、水分が少なくなりやすいことが関係します。
問題3: 気候と暮らしを資料から説明するとき、どんな順で考えるとよいですか?
答えを見る
気候の特色、生活への影響、人々の工夫の順でつなぐ
地形と風から気候の特色を読み、それが交通・水・住まい・産業へどう関係し、どんな工夫があるかを矢印で結ぶと説明しやすくなります。
ゲームで確かめてみよう
ここまでの内容を、実際に「季節風が来たら、どう暮らす?」を操作しながら確かめてみましょう。
