文章を書くとき、思いついたことを全部並べても、読み手に伝わるとは限りません。最初に「だれに、何を伝える文章か」を決めると、必要な材料を選びやすくなります。新聞記事なら、起きたことを確かめられる事実、場面を思いうかべるための具体的な材料、出来事の順序や理由を示す文のつながりが大切です。さらに、決められた字数へ収めるには、同じ意味のくり返しを見つけて直します。この記事では、感想だけで終わらない文章の作り方と、書いた後に読み直す推敲の手順を説明します。
対象: 小学3〜5年生ごろ / 学び: 国語・目的と相手に合わせた文章の組み立て
まず読者と目的を決め、事実と感想を分けよう
同じ出来事でも、一年生へ知らせる記事と、行事を見られなかった家族へ届ける記事では、必要な説明が変わります。そこで書き始める前に、読者と、いちばん伝えたいことを一文で決めます。次に、材料を事実と感想へ分けます。「午後一時に校庭で五年生二十人が走った」は、時刻や記録で確かめられる事実です。「とても感動した」は書いた人の感じ方で、感想です。感想が悪いわけではありませんが、事実の代わりにはなりません。だれ、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように、という問いを使い、分からないことは想像で埋めずに取材します。記事では、確かめた事実を土台にしてから感想を添えると、読み手が出来事と書き手の思いを区別できます。
数字・会話・音や動きで、必要なところを具体的にする
「運動会はすごかった」だけでは、何がどうすごいのかを読者が同じように思いうかべるのは難しいでしょう。「赤組と白組が最後の一周まで同点だった」「バトンを受け取ると、選手は腕を大きく振って走った」のように、数字や見えた動きを加えると場面がはっきりします。人の言葉を使うときは、だれが話したかを示し、聞いた内容を勝手に変えません。ただし、具体的なら何でも加えるのではなく、文章の目的に役立つ材料を選びます。給食の記事に校庭の木の色を長く書いても、献立の工夫は伝わりません。「くわしくする」とは文をむやみに長くすることではなく、読者の疑問に答える材料へ置きかえることです。
順序と関係が見えるように文をつなぎ、読み直す
材料がそろったら、出来事が起きた順、結論を先にする順、理由から結果へ進む順など、目的に合う並べ方を選びます。順序を示す「まず・次に・最後に」、反対の内容へ進む「しかし」、理由を受けて結果を示す「そのため」などは、文どうしの関係を読者へ知らせる言葉です。意味に合わない接続語を入れると、かえって分かりにくくなります。書き終えたら声に出して読み、主語と述語が合うか、同じ内容を二度書いていないか、前の文がなくても意味の通る指示語になっていないかを確かめます。字数を減らすときは大切な事実から消すのではなく、重複や目的から外れた説明を先に整理します。この読み直しを推敲といいます。
新聞編集シミュレーションではどう考える?
ゲームでは文章の材料を、事実・具体・つながりの三つのメーターへ単純化しています。確かめ取材は事実、数字は事実と具体、見た様子は具体、順序をつなぐ編集はつながりを主に増やします。一方、材料を足すと字数も増えるため、すべての操作を多く使えばよいわけではありません。記事ごとの読者と目的、初期値から目標までの差を見て、限られた編集時間を配分します。取材メモは十日間共通なので、今号を完璧にすることと、次号の取材手段を残すことの両方を考えます。ここで使う数値や評価は文章づくりの視点を比べるためのゲーム上の仕組みで、実際の文章が機械的な三つの点数だけで決まるという意味ではありません。
身近な例で考えてみよう
- 遠足を休んだ友達へ伝えるなら、「楽しかった」だけでなく、「午前十時に山頂へ着き、町が小さく見えた」のように時刻と見えた様子を加えると、その場を想像しやすくなります。
- 係活動のお願いでは、「ちゃんと片づけて」より、「使った色鉛筆を十二本そろえ、青い箱へ戻してください」のように、行動と場所を具体的にすると何をすればよいか分かります。
- 観察記録では、「芽が大きくなった」だけでなく、「月曜日は三センチ、水曜日は五センチ」のように同じ方法で測った数字を並べると、変化を確かめられます。
- 作り方を説明するときは、「まず紙を半分に折る。次に角を中心へ合わせる」のように順序を示す言葉を使うと、読み手が同じ順で行動できます。
よくある間違いと覚え方
- 「すごい」「楽しい」を何度も書けば様子が伝わると思う間違い。感想を一度示したら、何を見たり聞いたりしてそう感じたか、数字や動きなどの材料を加えます。
- 聞いていない人数や理由を、たぶん正しいと思って書く間違い。分からない情報は取材や記録で確かめ、確認できなければ断定せず、分かっている範囲だけを書きます。
- 接続する言葉を文の最初へたくさん置く間違い。前後の文が順序、反対、理由と結果のどの関係かを考え、その関係を示す必要がある場所だけに使います。
- 字数を減らすとき、時刻や人物など大切な事実から消す間違い。まず同じ意味のくり返し、目的から外れた説明、なくても意味が変わらない飾りの言葉を探します。
保護者の方へ
お子さまの文章を見るときは、すぐに正解の文へ直すより、「これは見て確かめたこと?感じたこと?」「いちばん読んでほしい人はだれ?」「その人が知りたい数字や様子は何かな?」と材料を分ける問いかけが役立ちます。短い出来事を事実と感想の二色で印を付け、前後を入れ替えて読み比べると、構成の違いを確かめられます。ゲームのメーターは考え方を見える形にした簡略モデルであり、実際の作文は内容、表現、目的によってよさが異なります。学校の課題では示された字数や引用の決まりに従い、本人が取材していない情報を事実として足さないよう一緒に確認してください。
ミニ問題
問題1: 「昼休みに図書室で三年生が十五冊借りた」と「本が人気です」のうち、確かめられる事実はどちらですか?
答えを見る
「昼休みに図書室で三年生が十五冊借りた」
時刻、場所、だれ、冊数が示され、貸出記録などで確かめられます。「人気」は書き手の判断を含むので、何人が借りたかなど根拠を一緒に示すと伝わりやすくなります。
問題2: 「雨が降っていた。__、遠足は体育館で行った」の空欄には、どんな関係の接続する言葉が合いますか?
答えを見る
理由を受けて結果を示す「そのため」など
雨が理由となり、体育館で行ったことが結果になっています。「しかし」では反対の関係を示してしまうため、前後の意味を確かめて「そのため」などを選びます。
問題3: 「大きくて大きな声で、とても大きく歌った」を短くするとき、どこを直せますか?
答えを見る
「大きな声で歌った」など、同じ意味のくり返しをまとめる
「大きい」という内容が三度重なっています。一度にまとめれば意味を保ったまま短くできます。必要なら「体育館の後ろまで届く声」のような具体的な様子へ置きかえます。
問題4: 給食を作る人の工夫を伝える記事で、最初に決めるとよい二つは何ですか?
答えを見る
だれが読むかという読者と、何を伝えるかという目的
読者と目的が決まると、材料の中から必要な取材内容を選べます。献立名だけでなく、作った人の工夫や理由を聞くべきだと判断しやすくなります。
ゲームで確かめてみよう
ここまでの内容を、実際に「ことば新聞!編集長シミュレーター」を操作しながら確かめてみましょう。
